- 作成日:2026.03.27
- 更新日:2026.07.28
飲食業界からの転職のコツ|おすすめ転職先・面接対策まで
厚生労働省の令和6年「雇用動向調査」によると、宿泊業・飲食サービス業における一般労働者の離職率は18.1%で、全産業の平均離職率約14.2%の約1.3倍。全産業のなかで「サービス業(他に分類されないもの)」の19.0%に次いで高い水準です。
この記事では、ホールスタッフ・キッチンスタッフなどの飲食業界のスタッフが転職を成功させるための情報を解説します。
おすすめの転職先や年代別の戦略、転職活動の進め方まで網羅していますので、ぜひ最後まで読んで転職活動の参考にしてください。
この記事の監修者
人材業界転職ルート 編集部
人材業界専門の転職エージェント「人材業界転職ルート」の編集部です。人材業界での転職活動やキャリアに役立つ記事を更新しています。
目次 INDEX
飲食業界スタッフが転職を考える主な理由
飲食業界スタッフが転職を検討する背景には、いくつかの共通した理由があります。自分の転職理由を整理するうえでも参考にしてください。
長時間労働・不規則なシフト
飲食店の営業時間は長く、開店準備や閉店後の清掃を含めると早朝から深夜に及ぶことも少なくありません。土日祝日や年末年始・お盆などがかき入れ時で、世間一般が休みのときほど忙しくなります。
また、アルバイトスタッフが急に休んだ際に正社員が穴を埋めるケースも多く、連勤が常態化しやすい環境でもあります。
賃金・年収が低い
厚生労働省が公表する令和7年の「賃金構造基本統計調査」によると、宿泊業・飲食サービス業の平均月収は27.2万円・平均年収は371.6万円(※)で、全産業のなかで最も低い水準です。
同調査では平均月収が前年比+2.9%と増加傾向にはありますが、他の産業が30万円後半~40万円程度であることを考えると、非常に低水準です。この傾向は飲食だけではなく、サービス業全般で同様です。
※年収額は平均月収の12倍に「年間賞与その他特別給与額」を足して算出
有給が取りにくい
厚生労働省が行った令和7年の「就労条件総合調査」では、有給休暇の付与日数自体は平均15.9日である一方、宿泊業・飲食サービス業は8.0日でした(取得率50.7%)。これは、全産業の有給平均取得日数12.1日と比べると、非常に低いことがわかります。
飲食サービス業は世間が休日であるタイミングで休みにくく、プライベートの時間が犠牲になりがちな問題があります。
キャリアの将来性への不安
上述のとおり、飲食業界は他産業と比べて賃金水準が低く、有給取得率も最低水準にあります。こうしたデータは、業界全体として働く環境の整備が遅れていることを示しており、長期にわたって働き続けるハードルの高さを物語っています。
また、飲食業界内でキャリアアップするには店長からSV(スーパーバイザー)というルートが一般的ですが、ポストの数には限りがあり、「この先どう成長できるのか見えない」という不安が転職を後押しする要因になっています。
また立ち仕事が基本で、重い食器や鍋を扱い続ける飲食の仕事は、年齢を重ねるごとに体への負担が増すことも、将来的な不安のひとつです。
飲食経験者が転職で活かせるスキル
「飲食の経験は他の業界で使えない」と思っている方は多いですが、それは大きな誤解です。飲食業界スタッフが日々の業務で身につけたスキルは、適切に言語化すれば異業種でも高く評価されます。
ここでは、ホールスタッフとキッチンスタッフそれぞれの強みを整理します。
ホールスタッフが転職で活かせるスキル
コミュニケーション能力・接客スキル
幅広い年代のお客様と日常的に接してきたホールスタッフには、相手のニーズを素早く察して対応する力が身についています。
言葉遣いや礼儀作法など、ビジネスマナーの基礎も自然と習得できているため、転職後に「コミュニケーション力のある人材」として即評価されやすいです。
クレーム対応力
理不尽なクレームも含め、感情的にならず誠実に対応し続けた経験は「対人スキルの高さ」として異業種でも通用します。
特に営業職やカスタマーサポートへの転職で高く評価されます。
マルチタスク処理能力
ランチタイムやディナータイムなどの繁忙時間帯に、複数のテーブルに対応しながら注文・配膳・会計を同時並行でこなす能力は、どの職場でも重宝されます。
「優先順位をつけて複数業務を回せる人材」は希少です。
観察力・気配り
空いたグラスに気づいて補充する、お客様の表情から「何か困っていないか」を読み取るといった観察力は、営業や接客を問わず「気が利く人材」として評価されます。
またホール全体の状況を見ながらスタッフに指示を出したり、バックヤードのキッチンと連携して動いた経験は、チームで動く仕事全般で活かせます。
キッチンスタッフが転職で活かせるスキル
食品知識・衛生管理の知識
食品衛生に関する実践的な知識や、食材の鮮度管理・アレルギー対応などの経験は、食品業界・製造業・物流業などへの転職で強みになります。
正確さと段取り力
決められた手順を守りながら複数の調理を同時進行させる能力は、「マニュアルや手順を正確に遂行できる人材」「先を読んで段取りを組める人材」として評価されます。事務職や製造ラインへの転職にも活かせます。
スピードと正確性を両立する力
注文が立て込むなかでも品質を落とさずに料理を提供し続けた経験は、「プレッシャー下でもパフォーマンスを維持できる能力」として言い換えることができます。
在庫管理・発注業務の経験
食材の在庫管理や発注を担当した経験がある場合、物流・購買・事務職などへのアピールポイントになります。
飲食業界からの転職におすすめの転職先
飲食業界スタッフが異業種に転職するなら、これまでの経験を活かしやすく、未経験でも評価されやすい職種を選ぶことが成功のポイントです。
また、飲食業界での課題として挙げられる「長時間労働」「不規則シフト」「低賃金」「有給の取りにくさ」といった点が改善されるかどうかも、転職先を選ぶ重要な基準になります。以下の5職種は特におすすめです。
営業職
対人スキル・マルチタスク能力・クレーム対応力・目標達成意欲が評価されやすい職種です。
未経験採用が活発なうえ、飲食業界出身者の強みが発揮されやすい職種でもあります。
- キャリアアドバイザー(人材業界):求職者のニーズをくみ取るコミュニケーション力が直結。飲食業界出身者を積極採用している企業も多い
- 保険営業:信頼関係の構築が売上に直結する職種。飲食での接客経験が強みになる
- 不動産営業(個人向け):高額商材だが「この人から買いたい」と思わせる人間力が鍵
- 広告営業:飲食店を担当する広告代理店も多く、現場経験をそのまま提案に活かせる場面がある
- IT・SaaSの個人向け営業:今後も成長が見込まれる業界。未経験歓迎求人が豊富
企業によってはフレックス制度や在宅勤務を導入しており、飲食業界より柔軟な働き方が可能なケースも多いです。
事務職
シフト管理・発注・在庫管理などの業務経験は、事務職の「計画性・段取り力・正確さ」として評価される可能性があります。特に、日報作成や売上管理などのバックヤード業務に関わってきた方は、経験をアピールしやすいでしょう。
基本的に土日祝休み・定時退社が多く、飲食業界と比べて体力的な負担が大幅に軽減されます。有給も取得しやすい傾向があります。
塾講師・スクール運営スタッフなど
飲食店で培った「人と向き合い、相手の状態を見ながら対応を変える力」は、塾や語学スクールなどの教育業界でも評価されやすいスキルと言えます。
学校教員のように資格が必要なものもありますが、塾講師・講師補助・教室スタッフ・受付などの職種は未経験歓迎の求人も多く、飲食経験者が活躍しやすい環境です。
授業時間に合わせたシフトが中心です。夕方〜夜の勤務が多い点は飲食と似ていますが、デスクワークが多いことや常に接客し続けるわけではないことなどから、体力的な負担は大きく軽減されます。
教育業界へのご転職なら、弊社が運営する教育業界に特化した転職エージェント「Education Career」にご相談ください。
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介護・福祉スタッフ
人に寄り添うホスピタリティ精神、体力、コミュニケーション力が直結します。人手不足が深刻で、未経験でも採用されやすい業界です。資格取得支援を行っている事業者も多くあります。
シフト制が基本で不規則な側面はありますが、事業所によっては希望シフトが通りやすく、有給も取得しやすい環境が整いつつあります。
食品・製造業(品質管理・工場スタッフ)
飲食業界での勤務を通じて身につけた食品知識・衛生管理・正確な作業遂行能力が強みになります。食品メーカーの品質管理部門では飲食経験者を歓迎するケースもあります。
シフト制や交替勤務の場合もありますが、残業が少なく、体力的な面では飲食業界より負担が軽い職場が多いです。
【年代別】飲食業界スタッフの転職
転職活動で求められることは、年代によって大きく異なります。同じ「飲食経験あり」でも、20代と40代では面接でのアピール方法が変わります。
20代の転職|ポテンシャルを前面に出す
20代、特に前半は「ポテンシャル採用」の枠が広く、異業種への転職が最もしやすい年代です。多くの企業がまだ技術や知識を育てる段階と考えており、「熱意・やる気・素直さ」を重視する傾向があります。
ポイント
- 「できること」よりも「やりたいこと・なぜこの仕事か」を明確に伝える
- 飲食での経験が浅くても、働く姿勢や成長意欲を前面に出す
- キャリアの軌道修正は20代のうちが最もしやすいタイミング。迷っているならまず動く
- 未経験でも成長産業(IT・人材など)に挑戦しやすい
アピールの例
「飲食店でのアルバイト・正社員経験を通じて、お客様のニーズを先読みして動く習慣が身につきました。今後は○○業界で、その力をさらに活かしたいと考えています」
30代の転職|経験を数値化して即戦力アピール
30代になると「即戦力」を求める企業が増えます。ポテンシャルだけでは評価されにくくなるため、飲食での経験を「他業種で通用する言葉」に置き換えてアピールすることが重要になります。
ポイント
- 店長・チーフ経験がある場合、「スタッフ〇名のマネジメント」「月間売上〇百万円の管理」など数値で実績を示す
- 「忙しい時間帯でも笑顔を保った接客」→「プレッシャー下でも品質を維持する能力」のように言葉を翻訳する
- 転職先での「1年後・3年後の自分」を具体的に描いてから活動を始める
- 親和性の高い業種(営業・カスタマーサポートなど対人スキルが活きる職種)を優先する
アピールの例
「アルバイトスタッフ10名のシフト管理と新人育成を担当し、離職率を前年比20%改善しました。この組織マネジメントの経験を御社でも活かしたいと考えています」
40代以降の転職|専門性と管理経験で価値を示す
40代以降は未経験職種へのポテンシャル採用枠がほぼなくなるため、自分の経験と親和性の高い職種・業界を選ぶことが現実的です。一方で、飲食業界で長年培った深い経験とマネジメントスキルは、同業界の管理職や関連業界では高く評価されます。
ポイント
- 店長・エリアマネージャー・本部経験など管理職歴を具体的な成果とともにアピール
- 「スタッフ数・売上規模・改善実績」など数字で語れる実績を整理する
- 飲食経験と親和性の高い職種(フードコンサルタント・フランチャイズ本部SV・食品商社営業など)を視野に入れる
- 資格取得(衛生管理者・調理師免許など)や転職エージェントを活用して選択肢を広げる
転職を成功させるための準備と注意点
転職活動を成功させるには、応募を始める前の「準備」が肝心です。飲食業界スタッフが特につまずきやすいポイントを中心に、事前にやっておくべきことをまとめました。
スキルの棚卸しをする
転職活動を始める前に、飲食店での経験を書き出してみましょう。「どんな業態・規模の店舗で」「何年間」「どんな役割を担い」「何を達成したか」を整理することで、職務経歴書の作成や面接のアピールがスムーズになります。
特に以下の点を具体的な数字で整理できると有利です。
- 担当した席数・1日の来客数
- アルバイトスタッフの人数と指導経験
- 売上目標の達成状況
- 改善した取り組みとその結果
転職理由と志望理由に一貫性を持たせる
面接官は「転職理由」と「志望理由」の一貫性を必ず確認します。まず転職理由(なぜ辞めるか)を明確にしてから、志望理由(なぜその会社か)を考える順番で準備しましょう。
例:「長時間勤務で家族との時間が取れないため転職を考えた → 土日休みで成長産業の〇〇業界を選んだ → その中でも御社は〇〇という点で魅力を感じた」
在職中に転職活動を進める
可能な限り、在職中に転職活動を行いましょう。退職後は収入がなくなるため焦りが生じ、本来望んでいない条件の会社に入社してしまうリスクがあります。
在職中の転職活動のポイント
- 転職エージェントを活用して効率化する(書類添削・日程調整を代行してもらえる)
- 休日や早番・遅番シフトを活用して面接に臨む
- 少なくとも2〜3ヶ月の活動期間を見込む
飲食業界スタッフの転職におすすめのエージェント活用法
転職エージェントを活用することは、飲食業界スタッフが転職を成功させるうえで非常に効果的です。特に以下のような方には強くおすすめします。
- 「自分の経験が他の仕事に活かせるかわからない」という方
- 職務経歴書の書き方に自信がない方
- 在職中のため転職活動の時間が取りにくい方
- 初めての転職で何から始めていいかわからない方
当社「人材業界転職ルート」では、人材業界への転職を軸に、飲食業界出身者の転職支援も行っています。
飲食経験を活かせる求人を豊富に保有していますので、以下のリンクからぜひお気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 飲食業界スタッフから未経験転職は難しいですか?
A. 難しくはありません。特に20代〜30代前半であれば、ポテンシャル採用を積極的に行っている企業が多く、飲食での経験(接客・マネジメント・マルチタスク)を正しくアピールすれば評価されます。40代以降は経験と親和性の高い職種を選ぶことでハードルを下げられます。
Q. 転職活動にはどれくらいの期間がかかりますか?
A. 一般的に2〜3ヶ月程度が目安です。期間的な余裕を持って転職活動を行うことで、よりご希望に合った転職先が見つかりやすくなります。
Q. 資格なしでも転職できますか?
A. はい、できます。飲食業界スタッフが多く転職する営業職は、資格なし・未経験でも採用されやすい職種です。ただし、不動産などは入社後の資格取得を求められる場合があります。
Q. アルバイト経験でも転職活動に活かせますか?
A. 十分に活かせます。アルバイトであっても、接客・調理・チームワーク・シフト管理などの実務経験は評価されます。ただし、雇用形態よりも「どんな役割を担い、何を学んだか」を具体的に語ることが重要です。
Q. 飲食業界から転職して後悔する人はいますか?
A. いらっしゃいます。主な後悔の理由は「入社後のミスマッチ(労働環境・仕事内容のイメージ違い)」です。防ぐためには、転職前に仕事内容・企業文化・実際の労働環境をよく調べること、転職エージェントに業界の内情を事前に教えてもらうことが有効です。
まとめ
飲食業界のスタッフが転職を考える背景には、低賃金・長時間労働・有給の取りにくさ・キャリアの不透明さなど、業界共通の構造的な課題があります。この記事では、そうした現状をデータで整理したうえで、飲食経験を活かせる転職先5職種と年代別の戦略、転職活動の進め方を解説しました。
飲食店での接客・マネジメント・マルチタスク対応といった経験は、適切に言語化すれば異業種でも十分に通用します。まずはスキルの棚卸しを行い、自分の強みを整理することから始めましょう。
転職活動に不安がある方や、どの職種・企業を選べばよいか迷っている方は、転職エージェントへの相談が最初のステップとして効果的です。人材業界転職ルートでは飲食業界出身者の転職支援実績も豊富ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
人材業界転職ルート 編集部
人材業界専門の転職エージェント「人材業界転職ルート」の編集部です。人材業界での転職活動やキャリアに役立つ記事を更新しています。
