- 作成日:2026.04.07
- 更新日:2026.04.07
保育士から転職を考えたら読む記事|よくある悩み・転職先・進め方を解説
厚生労働省の調査によれば、保育所で勤務する常勤保育士の離職率は9.3%(平成29年時点)であり、保育士の10人に1人近くが毎年離職している計算になります。
この記事では、保育士が転職を考える理由、転職先の選択肢、転職活動の進め方まで、順を追って解説します。保育士からの転職をご検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事の監修者
人材業界転職ルート 編集部
人材業界専門の転職エージェント「人材業界転職ルート」の編集部です。人材業界での転職活動やキャリアに役立つ記事を更新しています。
目次 INDEX
保育士が転職を考えるよくある理由
まずは、保育士が転職を考えるきっかけとして多く挙げられる理由を整理します。自分の状況と照らし合わせながら読んでみてください。
給与と業務量のバランスへの不満
保育士が転職を考える理由として多く挙げられるのが、給与と業務量のアンバランスです。
東京都福祉保健局「東京都保育士実態調査報告書」(令和元年5月公表)によれば、過去に保育士として就業した者が退職した理由として、「給与が安い」が29.2%、「仕事量が多い」が27.7%と、いずれも上位に挙がっています。
また、平成30年賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均年収は357.9万円(男女計)であり、全職種平均の497.2万円と比べると約140万円低い水準にあります。
処遇改善を目的とした処遇改善加算などの施策は導入されているものの、現場からは「業務量に見合っていない」という声が依然として多く聞かれます。
日々の保育に加え、指導計画や保育記録などの事務作業、行事の準備なども重なることで、就業時間内に業務が収まらないケースも珍しくありません。
人間関係・職場環境の問題
同調査では、退職理由として「職場の人間関係」が33.5%と最も高い割合を占めています。
保育所は、比較的小規模なチームで日常的に密接に関わり合いながら業務を進める環境です。こうした閉じた職場環境では、一度人間関係がこじれると距離を置くことが難しく、問題が長期化しやすい側面があります。
上司や同僚との関係だけでなく、保護者との関係に消耗を感じて転職を考えるケースも見られます。
体力的・精神的な消耗
保育士の仕事は子どもたちと一緒に動き回る場面が多く、身体への負担が大きい職種です。加えて、子どもの安全を常に確保しなければならないという緊張感は、精神的な疲労にもつながります。
記録業務や保護者対応が日常的に重なることで、「子どもと向き合うことは好きなのに、それ以外の業務に追われて本来の仕事ができない」というジレンマを感じる保育士もいます。
やりがいとストレスが同時に存在するため、「辞めたい」という気持ちを自分の中で整理しにくいという声もよく聞かれます。
「このまま続けていいのか」というキャリアへの不安
給与や人間関係といった具体的な不満とは別に、将来のキャリアに漠然とした不安を感じて転職を考える保育士も少なくありません。
平成30年賃金構造基本統計調査によると、保育士の平均勤続年数は8.1年であり、全職種平均の11.0年と比べて短い傾向があります。
転職したい気持ちはあるが、踏み出せない理由
転職したいという気持ちがあっても、なかなか行動に移せない保育士も珍しくありません。その背景にある不安を一つずつ整理してみましょう。
「保育士の資格が無駄になる」という不安
保育士資格を取得するためには、養成校での学習または国家試験の合格が必要であり、時間・費用・労力をかけて手にした資格です。せっかく取得した資格を使わない職種に転職することへの抵抗感は、多くの保育士が感じるでしょう。
ただし、転職市場において評価されるのは資格そのものよりも、保育士として現場で積み重ねてきた実務経験やスキルだということは認識しておきましょう。
「保育士以外でやっていけるか」という自信のなさ
「保育士の仕事しか経験がない」という感覚から、他の職種でやっていけるか自信が持てないという方も多くいます。「保育士の仕事は他の職種では活かしにくい経験が多く、つぶしが利かない職種だ」と思い込んでいる方もいらっしゃいます。
しかし、保育士としての経験を通じて得たスキルは、他の仕事でも活かせる可能性があります。
「在職中に転職活動できるか」という時間の問題
保育士の仕事は、残業・持ち帰り仕事・行事準備など、拘束時間が長くなりやすい職種です。「転職したいとは思っているが、活動する時間がない」という悩みは、現実的な問題として多くの方が抱えています。
かといって、先に退職してから転職活動を始めることにはリスクがあります。収入が途絶えた状態での活動は焦りを生みやすく、結果として条件面での妥協につながりやすくなります。
在職中に転職活動を進める場合は、転職エージェントの活用が有効です。求人の紹介から書類作成のサポート、企業との日程調整など多くの点でサポートしてもらえるため、限られた時間の中でも効率的に転職活動を進めることができます。
他職種でも役立つ保育士の能力
「保育士以外の仕事でやっていけるか」「資格を手放して大丈夫か」という不安の多くは、保育士として培ってきた能力を過小評価していることから来ています。保育士の仕事で日常的に求められる能力は、他職種で通用するものもあります。
コミュニケーション力
保育士は毎日、成長段階の異なる子どもたち一人ひとりに合わせた関わり方をしています。相手の状態を素早く察し、言葉を選び、適切に伝えるというコミュニケーション能力は、保育の現場で自然と鍛えられる能力です。
また、保護者対応も保育士の日常的な業務ですが、子どものことで不安や不満を抱えた保護者と日常的に向き合い、信頼関係を保ちながら対話することは簡単なことではありません。
調整力・傾聴力
保護者からの要望や不満に対応するためには、まず相手の話をしっかりと聞き、何を求めているのかを正確に把握することが必要です。
そのうえで、園の方針や現場の状況とのバランスを取りながら双方が納得できる着地点を探っていく経験は、人に対応する機会がある職種において活かせる可能性のある経験です。
観察力
保育士は多くの子どもの状態に目を配り続けます。一人ひとりの様子を把握しながら、食事・遊び・記録といった複数の業務を並行してこなすことは、保育士にとっての日常です。
「いつもと様子が違う」という小さな変化を察知する観察力も、保育の現場で磨かれるスキルのひとつです。
保育士から転職できる職種にはどんなものがある?
保育士として積み上げてきたスキルや経験は、さまざまな職種への転職に活用できます。ここでは、保育士からの転職先として選ばれることが多い職種を紹介します。
学童スタッフ・放課後指導員
保育士として培ってきた、子どもの状態を観察しながら適切に対応する能力は、学童の現場でも直接発揮できます。求人によっては保育士資格が応募要件や優遇条件になっているケースも多く、転職のハードルが低い点も特徴です。
また、学童スタッフの勤務時間帯は放課後から夕方が中心であることが多く、保育所と比べると早朝や長時間勤務が少ない傾向があります。働き方の改善を理由に転職を検討している方にとっても、選択肢のひとつになりえます。
なお、放課後児童支援員の資格は、保育士資格を持っていることが取得要件のひとつとなっており、資格取得のハードルが低い点も保育士にとっての強みです。
塾講師
子どもへの指導経験や、発達段階に応じた関わり方の理解は、塾講師の仕事でも活きるシーンがあります。
指導のアプローチは保育とは異なりますが、子どもの理解度や集中力を見ながら関わり方を調整するという点では、保育士として培ってきた経験と共通する部分があります。
雇用形態の選択肢が広い点も特徴のひとつです。正社員として安定した雇用を求める方から、まずは非常勤・業務委託として働き始めたい方まで、状況に応じた働き方を選びやすい職種です。
販売・接客スタッフ
日常的に多くの人と関わってきた保育士にとって、人と接することへの抵抗感は比較的低いといえます。保護者対応を通じて培ったコミュニケーション力や、相手の話を丁寧に聞く姿勢は、販売・接客の現場でも発揮しやすいスキルです。
未経験からでも採用される求人もあり、正社員登用制度を設けている企業も多いことから、異業種への転職の入口になりやすい職種でもあります。最初はアルバイトや契約社員として入社し、実績を積みながら正社員を目指すというキャリアの積み方も一般的です。
保育士が転職活動を進めるうえで知っておきたいこと
転職のタイミング
保育士が転職活動を進めるうえで、退職のタイミングは重要な検討事項のひとつです。
保育の現場は4月始まりの年度制で動いているため、3月末に退職をする予定で転職を検討するのが現場への影響を最小限に抑えやすいといえるでしょう。
また、クラス担任や行事の引き継ぎなどを無事に済ませ円満な退職を実現するためにも、遅くとも退職希望日の3ヶ月前には上長への意思表示を済ませておくことが望ましいでしょう。
逆算すると、年度末退職を目指す場合は遅くとも年明け1月頃には転職活動を本格化させておくことが理想です。内定から入社までに一定の期間が必要なことを踏まえると、秋頃から情報収集を始めておくと余裕を持って動けます。
職務経歴書で保育経験をどう伝えるか
他職種への転職では、職務経歴書に保育の業務内容をそのまま記載しても、採用担当者に業務の実態や難易度が伝わりにくく、評価されにくいことがあります。
保育士として積み重ねてきた経験をきちんと採用担当者に伝えるために、保育士としての経験を一般化して伝えることが求められます。
たとえば「保護者からのクレーム対応」は「感情的になりやすい相手との交渉・調整経験」として、「複数の子どもを同時に見る業務」は「多人数を対象とした状況判断と優先順位の決定」として表現することができます。
また、具体的なエピソードを盛り込むことも効果的です。「保護者との関係改善のためにどのような工夫をしたか」「行事の準備においてどのような役割を担ったか」といった具体的な経験に、可能であれば数値や成果を添えることで、採用担当者にとってイメージしやすい職務経歴書になります。
面接でよく聞かれること
保育士からの転職面接では、いくつか頻出の質問があります。事前に自分なりの答えを整理しておくことで、本番での印象が大きく変わります。
- なぜ保育士を辞めるのか
給与や人間関係といったネガティブな理由が本音であっても、面接でそのまま伝えることは避けた方が無難です。「子どもとの関わりを通じて培ったコミュニケーション力を、より幅広い場面で活かしたいと考えるようになった」など、前向きな動機として伝える言い換えを準備しておきましょう。 - なぜこの職種・会社なのか
保育士としての経験がどのように志望する職種に結びつくのかを、具体的に説明できるよう準備しておくことが重要です。 - 未経験でもやっていけそうか
多くの企業は未経験者に対して一定の研修期間を設けています。面接では不安を前面に出すよりも、「早期にキャッチアップするために何を準備しているか」を伝える姿勢が好印象につながります
転職エージェントを使うメリットと、使う際の注意点
一人で転職活動するとぶつかりやすい壁
特に初めて転職活動を行う方は、上手く求人情報を探せないこともあります。一般的な求人サイトに掲載されている情報だけでは、自分がどのような職場で評価されるのかを判断するのは困難です。
また、職務経歴書の作成や選考の面接対策も、独力で満足のいく水準まで準備しにくいポイントです。前章で述べたように、保育士の経験を異業種に伝わる言葉に置き換えるには一定のノウハウが必要であり、独力での準備には限界があります。
さらに、在職中の転職活動では、情報収集・書類作成・応募・面接日程の調整といった作業を本業と並行して進めなければならず、時間的な負担も大きくなります。
エージェントが担ってくれること
転職エージェントを活用すると、こうした壁の多くをカバーすることができます。
まず、一般には公開されていない非公開求人を含む形で、自分の経験や希望に合った求人を紹介してもらえます。保育士からの転職という文脈を理解したうえで提案を受けられるため、求人サイトを自力で検索するよりも、自分に合った選択肢に出会いやすくなります。
職務経歴書の添削や面接対策のサポートも、エージェント活用の大きなメリットです。保育士の経験をどのように言語化すれば採用担当者に伝わるか、面接でどのように受け答えすれば印象がよくなるかといった点について、具体的なアドバイスを受けることができます。
加えて、企業との面接日程の調整や条件交渉もエージェントが代行してくれます。在職中で時間的な余裕が少ない場合でも、こうしたやり取りの負担を軽減しながら転職活動を進めることが可能です。
エージェント選びで意識したいポイント
転職エージェントを選ぶ際は、担当者との相性や話しやすさを重視することが重要です。転職活動では、現在の職場への不満やキャリアへの不安など、プライベートな事情も含めて話す場面が生じます。
担当者に対して率直に話せるかどうかは、サポートの質にも影響します。初回の面談で「話しやすい」と感じられるかどうかを、ひとつの判断基準にするとよいでしょう。
また、一社だけに絞らず、複数のエージェントに相談したうえで比較することも有効です。エージェントによって保有する求人や得意とする領域が異なるため、複数社を併用することで選択肢の幅が広がります。
転職相談の前に、自分の「転職の目的」を整理しておこう
転職活動を始める前に、まず「何のために転職するのか」を自分の言葉で整理しておくことが重要です。
「なんとなく今の職場がつらい」「とにかく環境を変えたい」という状態のまま転職活動を進めると、次の職場でも同じ不満を繰り返すリスクがあります。給与・働き方・仕事内容など、転職で解決したい課題を明確にしておくことが、後悔のない転職につながります。
とはいえ、転職の目的を一人で整理することは、思いのほか難しいものです。日々の業務に追われながら、自分のキャリアを客観的に見つめ直す時間を確保するのは容易ではありません。
転職エージェントへの相談は、こうした整理を進めるきっかけとしても活用できます。「転職するかどうかまだ決めていない」という段階からでも相談できるため、まずは話してみるという選択肢も考えてみてください。
人材業界へ転職するなら、専門特化型エージェントの併用がおすすめ
転職活動でエージェントを使う場合、総合型エージェントと専門特化型エージェントを併用することをおすすめします。それぞれに異なる強みがあるからです。
総合型エージェントのメリット
- 求人数の総数が多く、業界・職種を横断して比較検討できる
- 全国規模でサービス展開している
専門特化型エージェントのメリット
- その業界内の各社の社風・業務内容・職場の雰囲気など、求人票だけではわからないリアルな情報を持っている
- 総合型には出回らないニッチな非公開求人を保有していることがある
- その業界・職種に特化した面接対策・職務経歴書の添削を受けられる
両者を併用することで、「広く情報を集めながら、気になる業界は深く攻める」という転職活動ができます。
なお弊社では、人材業界専門の転職エージェント「人材業界転職ルート」を運営しています。
「どの会社が自分に合うかわからない」「保育士からの転職に現実的な見通しを聞きたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
人材業界転職ルート 編集部
人材業界専門の転職エージェント「人材業界転職ルート」の編集部です。人材業界での転職活動やキャリアに役立つ記事を更新しています。