- 作成日:2026.10.09
- 更新日:2026.10.09
結果を出すキャリアアドバイザーの仮説思考|面談前の準備と仮説の立て方を解説
キャリアアドバイザーの仕事では、求職者から話を聞く前にも、考えられることがあります。
- 「なぜ今、転職を考えているのだろう」
- 「この経験は、別の仕事でも生かせるのではないか」
- 「この方には、どんな求人を提案できそうだろう」
登録情報や職務経歴書を読み、こうした見立てを持っておく。それが、今回紹介する「仮説思考」です。
大切なのは、限られた情報から自分なりに考え、その仮説をヒアリングや求人提案につなげることです。
仮説を持つと、面談で聞きたいことが具体的になります。求人を探すときにも、「この人には、こういう切り口で提案できそうだ」と考えられるようになります。
本記事では、面談前の準備の流れと仮説の立て方を、教員からの転職を例に解説します。
この記事の監修者
佐久間健光
株式会社ファンオブライフ 取締役 人材業界・教育業界など領域特化の転職エージェント事業を運営。年間数百名の転職・キャリア支援を行っている。また、自社の採用でも多くの人材業界経験者(キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザー)との面談を実施中。YouTubeチャンネルで転職のノウハウや体験談を公開中。著書に「教育業界への転職のポイントがわかる本」がある。
目次 INDEX
面談前の準備は3つのステップで進める
面談前の準備は、次の3つのステップで進めます。
1.求職者の情報を読み、仮説を立てる
登録時の情報、レジュメ、アンケートなどを読み込みます。
その際、「どんな経歴か」「希望条件は何か」に加えて、「なぜ転職を考えているのか」「どんな経験を生かせそうか」も考えてみます。
情報が少なくても、考えられる可能性をいくつか挙げておく。それだけでも、面談で聞きたいことが見えてきます。
2.仮説をもとに、求人をピックアップする
次に、仮説をもとに、提案できそうな求人を探します。
働き方を変えたいのかもしれないなら、休日や勤務時間の改善につながる求人。今の仕事で培った経験を別の環境で生かせそうなら、その経験が求められる求人を探します。
実際の求人を見ることで、「この仕事につながるなら、あの経験について詳しく聞いてみたい」と、ヒアリングの観点が増えることもあります。
3.提案の切り口ごとに求人を整理する
選んだ求人は、「働き方を整える」「収入を伸ばす」「経験を生かして新しい仕事に挑戦する」といった切り口で整理しておきます。
その人にとって、それぞれの求人にどんなよさがあるのか。ここまで考えておくと、面談で聞いた話と求人を結びつけやすくなります。
仮説を立てる2つのヒント
年齢や経験年数から、変化のタイミングを考える
年齢や経験年数は、転職を考えた背景を想像する手がかりになります。
仕事を一通り経験して、次の挑戦を考え始めたのかもしれません。今の職場での昇進や収入の見通しが見えてきた可能性もあります。
また、結婚や子育てなど、生活の変化によって、勤務地や勤務時間、休日に求めるものが変わることもあります。
年齢だけで決めつける必要はありません。「この方には、今どんな変化がありそうか」と考えるきっかけにします。
経歴から、選んできた理由や強みを考える
学校、最初の就職先、転職先を、それぞれどう選んできたのか。在籍期間や担当業務にも、その方を理解するヒントがあります。
「なぜこの仕事を選んだのだろう」「長く続けているのは、どこにやりがいを感じているからだろう」と考えてみます。
職務経歴の中の一行が、提案のヒントになることもあります。
「新人の育成を担当」「業務改善を推進」「新しいシステムの導入に関わった」。本人がさらっと書いた経験にも、次の仕事につながる強みがあるかもしれません。
具体例:29歳・中学校教員の場合
たとえば、次のような方が転職を考えているとします。
- 29歳
- 教育学部を卒業後、新卒で中学校の教員になり、現在7年目
- 現在は中学3年生の担任
- 職務経歴に「ICT導入の推進を担当」という一文がある
限られた情報から、考えられることを広げる
この情報から、どのような仮説を立てられるでしょうか。
- 転職のタイミング:中学3年生の生徒を送り出す年度末を、一つの区切りと考えているのかもしれない。
- 働き方:今後の生活を考えて、休日や勤務時間を見直したいのかもしれない。
- 収入:今の仕事を続けた場合の年収の見通しが見え、もっと収入を伸ばせる道を探しているのかもしれない。
- 新しい挑戦:教員として経験を積み、学校の外でも教育に関わってみたいのかもしれない。
- 生かせる経験:ICT導入の際に、ほかの先生への説明や活用の支援をしていたなら、その経験を民間企業でも生かせるかもしれない。
この段階で、どれか一つに絞る必要はありません。
「この可能性もある」「そうだとしたら、こんな求人がよさそうだ」と考えることで、準備の幅が広がります。
仮説をもとに、求人を3つの切り口で整理する
実際の募集条件や応募要件を確認しながら、たとえば次のような求人を探しておきます。
| 提案の切り口 | 探しておく求人の例 |
|---|---|
| 働き方を整える | 教材・教育サービスの企画、学校法人の職員などのうち、休日や勤務時間の改善につながる求人 |
| 収入を伸ばす | 教育業界の法人営業、塾の教室長などのうち、現在より年収を上げられる、または将来的な収入の伸びを見込める求人 |
| 教員・ICTの経験を生かす | 学校での経験や導入支援の経験を生かせる、EdTech企業の導入支援・カスタマーサクセスなどの求人 |
同じ求人が、複数の切り口に当てはまることもあります。
大切なのは、その求人を「この人に、どういう理由で勧められそうか」まで考えておくことです。
仮説を持つと、ヒアリングが具体的になる
こうした準備をしておくと、面談での聞き方も変わります。
まずは、本人が転職を考えたきっかけや、今の仕事について話を聞きます。そのうえで、準備してきた仮説を手がかりに、さらに詳しく聞いていきます。
働き方の話から、求人選びに必要な情報を聞く
たとえば、本人から「働き方を変えたい」という話が出たとします。
働き方を切り口に求人を見ていれば、「平日の帰宅時間なのか、土日の勤務なのか、それによって提案する求人が変わりそうだ」と考えられます。
そこで、
「今の働き方で、特に変えたいと感じているのは、どのようなところですか?」
と聞く。
「土日も部活動があり、家族との予定を立てにくい」という答えであれば、休日出勤の頻度や、本人が希望する休日の過ごし方をさらに聞いていきます。
こうして聞くことで、「働き方を改善したい」という希望が、求人を選ぶための具体的な情報になります。
経歴の一行から、提案の可能性を広げる
「ICT導入を担当」という一文についても、経験を生かせるかもしれないと考えていれば、詳しく聞きたいことが出てきます。
「ICT導入では、具体的にどのような役割を担当されたのですか?」
たとえば、「ほかの先生に使い方を説明し、授業で活用できるように支援していた」という答えが返ってきたとします。
そこから、
「使ってもらうために、どのような工夫をされたのですか?」
「その仕事の中で、面白いと感じたのはどのようなところですか?」
と、仕事の進め方や、本人がやりがいを感じる場面まで聞けます。
もし、相手の困りごとを聞き、活用方法を考えることに手応えを感じていたなら、教育サービスの導入支援なども、提案の切り口になりそうです。
仮説を立てることで聞きたいことが生まれ、聞いた内容から求人の切り口が広がっていく。このつながりが、仮説思考のよさです。
仮説の当たり外れより、考えるプロセスが大切
最初の仮説が当たったかどうかは、それほど重要ではありません。
働き方を変えたいのかもしれないと思っていたら、実際には仕事内容への関心が大きかった。ICTに興味があるのかと思ったら、担当を任されただけだった。そうしたこともあります。
その場合は、聞いた内容をもとに、次に聞くことや提案の切り口を考えればよいのです。
大切なのは、限られた情報から仮説を立てること。その仮説を持ってヒアリングすること。そして、その人に合う求人の切り口を考えること。
このプロセスを繰り返すことで、経歴のどこに着目するか、何を詳しく聞くか、どう求人につなげるかという引き出しが増えていきます。
仮説思考は、キャリアアドバイザーの仕事の醍醐味
同じ職務経歴書を読んでも、そこから何を考えるかによって、面談で聞くことも、提案する求人も変わります。
本人がまだ気づいていない経験の価値や、考えていなかった選択肢が見つかることもあります。そこに、キャリアアドバイザーの仕事の面白さがあります。
まずは次の面談前に、「なぜ転職を考えているのか」「どんな経験を生かせそうか」「どんな切り口で求人を提案できそうか」を、いくつか書き出してみてください。
この考え方は、ご自身のキャリアを考えるときにも役立ちます。人材業界での転職をお考えの方は、人材業界専門の転職エージェント「人材業界転職ルート」にお気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者
佐久間健光
株式会社ファンオブライフ 取締役 人材業界・教育業界など領域特化の転職エージェント事業を運営。年間数百名の転職・キャリア支援を行っている。また、自社の採用でも多くの人材業界経験者(キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザー)との面談を実施中。YouTubeチャンネルで転職のノウハウや体験談を公開中。著書に「教育業界への転職のポイントがわかる本」がある。

