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キャリアアドバイザーの「寄り添う」とは?希望を聞くだけで終わらない支援の進め方を解説

キャリアアドバイザーを目指す理由として、「人に寄り添う仕事がしたい」という思いを持つ方もいるでしょう。

  • 誰かの相談に乗りたい。
  • 転職で悩んでいる人の力になりたい。

これは、とても大切な気持ちです。ただ、「寄り添う」とは、具体的に何をすることなのでしょうか。

丁寧に話を聞く。相手の気持ちを受け止める。希望を否定せず、その希望に合う求人を探す。どれも大切ですが、それだけで十分に役に立てているとは限りません。

たとえば、「今の仕事がつらいんです」という話を聞き、希望条件を確認して「その条件で探しておきます」と伝える。本人は少し安心するかもしれませんが、その後に選択肢が出てこなければ、困っている状況は変わりません。相談して気持ちが楽になることと、転職の悩みが解決に向かうことは、必ずしも同じではないのです。

キャリアアドバイザーが寄り添うとは、その場で安心してもらうことに加えて、本人が望む状態に近づくための支援をすることです。

本記事では、「寄り添う」を具体的な行動に置き換え、希望の背景の聞き方、言いにくいことの伝え方、提案を通じたすり合わせの進め方を、「残業を減らしたい」という求職者を例に解説します。

この記事の監修者

株式会社ファンオブライフ 取締役 人材業界・教育業界など領域特化の転職エージェント事業を運営。年間数百名の転職・キャリア支援を行っている。また、自社の採用でも多くの人材業界経験者(キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザー)との面談を実施中。YouTubeチャンネルで転職のノウハウや体験談を公開中。著書に「教育業界への転職のポイントがわかる本」がある。​

「寄り添う」を3つの行動に置き換える

求職者に寄り添う支援は、次の3つの行動に分けて考えることができます。

1.希望を受け止め、その背景まで理解する

求職者の希望には、本人が実現したいことと、「こうすれば実現できそうだ」という本人なりの考えが含まれています。たとえば、次のような希望です。

  • 「安定したいので、大企業がいいです」
  • 「成長したいので、ベンチャーに行きたいです」
  • 「大学職員は、働き方に余裕がありそうなので興味があります」
  • 「なんとなく、副業ができる会社がいいです」

こうした希望を聞いて、そのまま求人を探し始めることもあるでしょう。しかし、「安定したい」という気持ちは分かっても、その人にとっての安定が何なのかは、聞いてみなければ分かりません。

収入が大きく変わらないことなのか。
長く働けることなのか。
身につけた経験を、ほかの会社でも生かせることなのか。

そこが分からないままでは、大企業の求人を紹介できても、本人の不安が解消するかは分かりません。

ここで気をつけたいのは、条件を変えてもらうために理由を聞く、という姿勢にならないことです。「希望を緩めてもらえないか」と思って質問を重ねると、その意図は本人にも伝わってしまいます。

知りたいのは、その人にとって何が大切なのかです。

なお、最初からすべてを聞き出そうとしなくても大丈夫です。具体的な求人を見て、初めて本人が気づくこともあります。話を聞いて考えることと、提案して反応を聞くことを、行き来しながら進めていきます。

2.言いにくいことも、選択肢と一緒に伝える

希望すること自体に、問題があるわけではありません。ただ、すべての希望を満たす求人となると、現時点で紹介できる選択肢が少ないこともあります。

そのときに、気まずいからと「分かりました。探しておきます」とだけ伝えて終わると、本人は待つしかありません。どこが難しいのかも、ほかにどんな選択肢があるのかも分からないままです。

分かっていることは率直に伝えたほうが、本人は次の判断をしやすくなります。単に「難しいです」と伝えるのではなく、どこが難しく、どんな選択肢なら考えられるのかまで考えて伝えることが大切です。

ただし、自分たちが紹介できる求人が少ないことと、世の中に求人がないことは違います。自分が把握している範囲を超えて、「その条件では転職できません」と決めつけないことが大切です。

言いにくいことを伝える目的は、本人が状況を理解して、次を考えられるようにすることです。厳しいことを言ったから、寄り添っているわけではありません。

伝えた先に、本人が検討できる選択肢があるか。そこまで含めて考えることが大切です。

3.提案を通じて、一緒にすり合わせる

求人を提案するときは、最初から正解を出そうとしすぎなくて構いません。

本人も、自分の希望をすべて整理できているとは限りません。キャリアアドバイザーも、一度話を聞いただけで、その人をすべて理解できるわけではありません。

だからこそ、考えたことを提案し、反応を聞いてみる。具体的な選択肢を見ながら、何を優先して、何を譲れるのかを一緒に考える。そこで分かったことを、次の提案に反映する。このやり取りが、すり合わせです。

具体例:「残業を減らしたい」という求職者の場合

たとえば、次のような希望を持つ求職者がいるとします。

  • 残業を減らしたい
  • 年収は維持したい
  • 仕事内容は変えたくない

背景を聞くと、確認すべき条件が変わる

「残業を減らしたい」と聞いて、残業の少ない求人を探すのは自然な対応です。ただ、その前に、なぜ減らしたいのかを聞いてみます。

すると、「子どもと過ごす時間を増やしたい。今は帰宅するころには、子どもが寝てしまっている」という答えが返ってきたとします。

この場合、月の残業時間だけでは判断できません。求人を考えるうえでは、次のようなことも大切になります。

  • 帰宅時間:何時ごろに帰れれば、子どもと過ごせるのか
  • 通勤時間:今、通勤にどれくらい時間がかかっているのか
  • 残業の入り方:毎日遅いのか、それとも急に残業が入ることが困るのか

残業が減っても、通勤が長くなれば、帰宅時間は変わらないかもしれません。逆に、残業時間は希望より少し多くても、家から近い職場であれば、今より早く帰れる可能性があります。

希望の背景を聞くことで、提案できる選択肢が変わってくるのです。

すべての希望を満たす求人が限られるときの伝え方

この方の場合、年収と仕事内容を維持しながら、希望の残業時間に収まる求人は、現時点では限られることもあります。

そのときは、分かっていることを率直に伝えます。

「今ご案内できる求人では、年収と仕事内容を維持しながら、ご希望の残業時間に収まるものは限られています」

そのうえで、別の可能性も一緒に示します。

「一方で、こちらは残業時間がご希望より少し多いのですが、通勤時間は短くなります。お子さんと過ごす時間を増やしたいというお話だったので、一度見ていただきたいと思いました」

難しい点を伝えるだけでなく、本人の背景を踏まえて、検討できる選択肢を一緒に示す伝え方です。

提案への反応から、次に確認することが見えてくる

通勤時間が短くなる求人を紹介したところ、「近いのは魅力ですが、急な残業があると困ります。毎日、帰る時間の見通しが立つことのほうが大事です」という反応があったとします。

この反応から、次に何を確認すればよいかが分かります。月の残業時間や通勤時間に加えて、残業が発生するタイミングや、事前に予定が分かるかどうかです。

本人にも、「それでは、帰宅時間の見通しが立つことを重視して、ほかの求人も見ていきましょうか」と確認できます。

さらに求人を見ていく中で、「年収は維持したいと思っていましたが、少し下がっても、家族との時間を確保できるほうがいいかもしれません」と話が進むこともあるでしょう。反対に、「やはり年収は下げられないので、今の希望を維持して探したい」と分かることもあります。

どちらが正解かを、キャリアアドバイザーが先に決めるわけではありません。

最初に紹介した求人に興味を持ってもらえなかったとしても、それだけで失敗ではありません。なぜ興味を持てなかったのか、どの部分はよくて、どこが気になったのか。そこが分かれば、次の提案は考えやすくなります。

提案するときに押さえたい3つのポイント

反応を聞けばよいからといって、手当たり次第に求人を送ればよいわけではありません。提案するときは、次の3つを意識します。

本人の話を踏まえた、提案の理由を伝える

なぜその求人を紹介するのか、本人の話を踏まえて考えた理由を添えます。

「子どもと過ごす時間を増やしたいと伺ったので、通勤時間にも注目しました」

希望と異なる点も伝え、どう感じるかを聞く

希望と異なる点があれば、それも伝えます。そのうえで、本人がどう感じるかを聞きます。

「こういう選択肢もあると思ったのですが、どう感じますか?」

反応を聞いたら、自分の考えも見直す

提案する前には、きちんと考える。提案した後には、本人の反応を聞いて考え直す。

ここが抜けると、すり合わせのつもりが、説得になってしまいます。

「あなたのため」が誘導にならないように

  • 「この求人が合っているはずだ」
  • 「この人のためになるはずだ」

そう思うほど、断られたときに、さらによいところを説明したくなることもあるでしょう。

しかし、本人が気になっていることを受け止めず、応募してもらう方向にだけ話を進めてしまうと、「自分の希望を聞いてもらえない」と感じさせてしまいます。

「あなたのため」と言いながら、キャリアアドバイザーが望む結論に誘導していないか。これは、常に気をつけたいところです。

一発で当てることにこだわるよりも、提案と確認のやり取りを丁寧に重ねる。そのほうが、本人が納得できる選択につながります。

「寄り添いたい」気持ちを、相手の役に立つ行動に変える

求職者に寄り添ううえで、丁寧に話を聞くことや、気持ちを受け止めることは大切です。

そのうえで、希望の背景を知り、本人が何を実現したいのかを考える。実現に向けて必要な情報は、言いにくいことも含めて、選択肢と一緒に伝える。そして、提案への反応を聞きながら、すり合わせていく。

最初から正解を出せなくても大丈夫です。求職者自身も、求人を見ながら考えが整理されることがあります。キャリアアドバイザーも、その反応を聞いて理解を深められます。

大切なのは、聞いて終わり、提案して終わりにしないことです。本人が納得して選び、次の行動に進めるように、一緒に考えていきます。

「寄り添いたい」という気持ちを、相手の役に立つ行動に変えられているか。日々の支援を振り返るときに、ぜひ考えてみてください。

これは、キャリアアドバイザー自身が転職を考えるときも同じです。具体的な選択肢を見ながら、自分が何を大事にしたいのかを考えていくことができます。

人材業界での転職をお考えの方は、人材業界専門の転職エージェント「人材業界転職ルート」にお気軽にお問い合わせください。

この記事の監修者

株式会社ファンオブライフ 取締役 人材業界・教育業界など領域特化の転職エージェント事業を運営。年間数百名の転職・キャリア支援を行っている。また、自社の採用でも多くの人材業界経験者(キャリアアドバイザー・リクルーティングアドバイザー)との面談を実施中。YouTubeチャンネルで転職のノウハウや体験談を公開中。著書に「教育業界への転職のポイントがわかる本」がある。​

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